資材倉庫

2026年09月01日。21時23分。
UCIA日本支部捜査基地グラウンドベース。
資材倉庫。

「ハーディ。そろそろこっち用のM7(新型アサルトライフル)、上がってくるらしい」

資材倉庫の隅でモニターを眺めながら葉山がキーボードを叩いている。

「一応ここでは室長と呼びなさいって言ってるでしょうに。やっぱり軍としてはこっちでも6.8mm弾使えって事なの?」

「まーそういうことらしい。UCIA用のカスタム、思ったより時間かかったみたいだね。ほぼフレームから新設計を余儀なくされたようだが。これを見てくれよ」

葉山のモニターに、かなりの箇所にカスタムパーツが装着されたアサルトライフルの画像が映し出される。

「何これ…… ほぼ原形とどめてないような気がするけど。よく分からないパーツが色々付いてるわね……」

「一応名前はM7だが…… 見た目とスペックからもう別物と言っていい。それに不思議なのは、通常弾薬が2種類存在することだ。6.8mm共通弾と6.8mmME弾とある。UCIAに納品されるのは訓練用に共通弾。作戦にはME弾を使用せよとのことだ」

「ME弾…… 聞いたことないけど強化弾薬の一種かしら?」

「見たところ共通弾とのスペックの違いは無い。これが何なのかはよく分からないよ。あと気になるのは光学照準器が通常のものと異なる型式番号になっている。XMS-201。これを作るのにかなりの時間が掛かったようだ」

「なるほど。色々と分からない仕様ということだと、対AW用の武装……と言うことで良いのかしらね……」

「まあ、そうだろうね…… こんなものが上がってくるということは、それだけ危険も迫っている。そういうことかな」

その時、一人の大男が入ってくる。スティーブンだ。

「二人とも。夜食の準備が出来たぞ。今日は本格博多風焼き鳥に枝豆。キャベツのサラダだ」

「おお。なんだかビールが飲みたくなるメニューだね」

「流石にアルコールは禁止よ。ノンアルビールで我慢しなさい」

スティーブンがUCIA納品用のM7が映し出されたモニターを見る。

「こんなものが納品されるのか…… いよいよここも、穏やかじゃなくなってきたな」

スティーブンが険しい表情で語る。

「もう、殺し合いはしたくないけどね…… 葉山とスティーブン、貴方たち二人がUCIA《ここ》に配属と聞いて嫌な予感はしてたのよ」

「3人で戦場を駆け回ってた頃が懐かしいな…… もうあんな事はごめんだが……」

と葉山。2人が俯く。

「神蔵はきっと…… あの部隊にいたんだと思う。あの事件の後、部隊は解散したと思っていたけど…… まだ密かに存続していたのね。それを思うと、彼がどれだけ深い傷を負ったのかは、理解できるわ……」

「ハーディ。その話はやめようか…… 上にバレたら規定違反でどうなるか分からないよ?」

葉山の言葉に、ハーディが一瞬口を紡ぐ。

「……ともかく、二人とも分かってるわね。今夜は何が起こるか分からないわ。スティーブンもその時は頼むわよ」

ハーディの言葉にスティーブンが力強くうなずく。そして三人は食堂へ向かったのだった……。

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